読書覚え書き

読書『陸行水行』 

仕事で最低毎週1冊は本を読むから、 プライベートで読む本は積まれていくばかり。 しかし、この本は一気に読んだ。 松本清張の短編集。 出版業界の人は必ず一度は松本清張を通るのではないかと 思わせるぐらいの大作家である。 「陸行水行」は魏志倭人伝の…

『チャーリーブラウンなぜなんだい』を読んで

USJに行ったのがきっかけで、 スヌーピーが好きになった子どもたち。 6歳の長男が買ってとせがんで手に入れたのが、 『チャーリーブラウンなぜなんだい』 という本だ。 どんな本だか知らなかったのだが、 息子にせがまれて読んでみたらもう涙。 白血病に…

『学校に行けない僕と9人の先生』

タイトルに惹かれて手に取ったが、 中身はマンガだった。 作者が自分の過去をもとにした作品らしい。 この作品では、子どもの周囲にいる先生や友達の言動を 本人がどのように受け取ったかにフォーカスされて 描かれている。 そこがもういちいちリアルなのだ…

『教誨師』

縁あって『教誨師』という本を読んだ。 教誨師とは、拘置所や刑務所で価値観を是正し、 精神的な平穏、魂の救済を目的として、収容者の矯正を 行う人生の先生のような存在で、宗教者が担う。 この本の教誨師は、仏教のお坊さんだ。 死刑囚を収容する拘置所の…

『手紙』

ふだんノンフィクションばかり読んでいる私が唯一 といっていいくらい読む小説が、東野圭吾さんの本だ。 その中に『手紙』というのがある。 弟の学費を稼ぎたい兄は、強盗殺人を犯してしまう。 兄は刑務所の中から弟に手紙を送り続けるが、 弟はその手紙の返…

『里山資本主義』

『デフレの正体』の藻谷浩介さんという地域エコノミストと NHK取材班が書いた本です。 NHK広島で中国地方の里山でたくましく生きている人たちを 取材した番組を本にしたものです。 この『里山資本主義』の考え方には、かなりの面で賛同できます。 里山資本主…

『佐賀のがばいばあちゃん』

事務所に転がっていたのを読んでみた。 80年代に漫才で一世を風靡した漫才コンビB&Bの 島田洋七さんが書いた自伝的小説(?)らしい。 この本、いろんな出版社に持ち込んだのに、 話が地味として全然売れなかったのだが、 不況極まれり2000年代の後…

『人を動かす』

『人を動かす』は世界で最も売れているビジネス書の1つとされている。 でも、これはビジネスの世界に限らず、広く人間生活において 重要なことについて書かれた書物だ。 いかに人間関係をうまくやるかということ。 相手を尊重し、相手のことを思いやり、相…

『必見 女性客が増える理由』

自動車ディーラー向けに、いかに女性客にウケる店づくりを するかを指南した本である。 昔は男目線オンリーの目線でも売れていたけれど、 これからの時代は女目線で店づくりをしないと来てくれませんよ ということだ。 女性が財布を握っていることも多く、購…

『明日の記憶』

映画がよかったので、原作の小説のほうも読んでみた。 驚いたことに、この小説は若年性アルツハイマーである主人公の 一人称で、単視点で書かれていた。 だんだん記憶が不確かになっていく様子が、客観的にではなく、 主観的に書かれているのだ。 小説という…

『ブラックジャックによろしく』

私は活字派の人間だけど、漫画については否定的な印象はない。 どっちを読むのを勧めるかといったら活字だけど、 何も読まないより漫画を読むほうがいいと思っている。 『ブラックジャックによろしく』は、話題になったころ リアルタイムで読んでいたが、そ…

『社畜のススメ』

この本は、最近流行りの「意識の高い社員」「個性を発揮して、やりたい仕事を」 といった新入社員や若手社員に心地のいい言説に対するアンチテーゼとして あえて「社畜」という言葉を使って警鐘を鳴らす本である。 この本は、私が常日頃思っていることを明快…

『木を植えた人』

この本は絵本として有名で、他にもさまざまな版形の本が出ている。 フランスの田舎で、妻と子どもを失った孤独な男が、 荒野に木を植え、再生していく様子を語った本である。 著者はこの「木を植えた人」を第三者の視点で書いている。 「木を植えた人」の発…

『僕は君たちに武器を送りたい』

京都大学で人気ナンバー1の講師である、瀧本哲史氏による本。 これからのグローバル社会で生き残っていく人材であるには どのような武器が必要であるかということを書いている。 著者が20代の社会人向けに書いたというとおり、 非常に基本的なことについ…

『二十日鼠と人間』を読みました。

名作読書シリーズ③であります。 スタインベック『二十日鼠と人間』を読みました。 学生時代からヘミングウェイを読んでいましたし、 どうもアメリカ文学が好きみたいです。 この『二十日鼠と〜』は映画を先に観ました。 それまで観た映画では、悪役が多かっ…

『ビルマの竪琴』を読んでみました。

名作読書シリーズ②であります。 『ビルマの竪琴』を読んでみました。 終戦間近のビルマ(現ミャンマー)で、日本軍が奮戦する。 しかし、奮闘のかいなく終戦を迎える。 そのとき、ミャンマーの別の地域で戦う日本軍の別部隊は 最後まで戦うとして、投降して…

『ロミオとジュリエット』を読んでみた。 

私は小中学生のころ、ほとんど本を読まなかったので、 名作と言われるものを読まないできている。 というわけで、名作読書シリーズ① 『ロミオとジュリエット』を読んでみた。 知らない人はいない戯曲だ。 だけど、本でちゃんと読んだことがなかった。 いろん…

『製造業が日本を滅ぼす』

高名な経済評論家であり、一橋大学名誉教授でもある 野口悠紀雄氏の著作。 製造業を基幹産業として現在を気づいた日本としては 到底受け入れられない、刺激的なタイトルである。 産業構造の根本的な転換を訴えている。 製造業はなんにせよいつかはコモデティ…

『日本経済の真相』

マスコミの脳は小鳥程度―― 霞が関の官僚はそううそぶいているらしいことが、 本書の冒頭に書いてある。 著者は元財務官僚で経済評論家の高橋洋一氏だ。 曰く、政府が組む予算の資料は2000ページほどあるのだが、 マスコミに配られるのは50ページほどの…

『いちばん大事なこと』

『バカの壁』を上梓した直後に出したのが、 養老猛司氏のこの本。 現代人が陥りがちな思考法を指摘している箇所がおもしろい。 たとえば、「ああすれば、こうなる」という思考の図式から 離れられないといったことだ。 人間を含めた自然現象においては、原因…

『民主主義はやっぱり最高の……』

著者の橋爪大三郎氏の本を、学生時代によく読んだ記憶がある。 社会学の課題図書になっていたりしたからだ。 氏の本はいつも明快で、非常にわかりやすい。 当時からわかりやすかったが、今読んでもスッと納得できる。 印象に残った話をひとつあげるとすると…

『芝庭つくり コツのコツ』

草を刈ったときの香りがストレス解消に役立つとかなんとか。 そういう情報を見聞きした。 だからというわけではないが、公園の芝生に寝転ぶのが好きで、 晴れた日にはよく公園に出かけている。 そういう芝生を自宅にもつくろうと買ったのがこの本。 もともと…

『公務員の異常な世界』

公務員改革については、大阪で元府知事であり、 現市長の橋下氏が辣腕を振るっている。 国政でも国家公務員の新規採用を減らすとか、議員歳費を減らすとか いっている昨今、公務員改革はまったなしでしょう。 というのも、増税議論がなされるときは、必ず「…

『永遠の0』

『風の中のマリア』がよかったので、今度は同じ著者の 『永遠の0』を手にとってみた。 文庫で600ページ近い分量があるが、スラスラと 大変に読みやすい内容になっている。 戦記ものというのは、それを読みなれている人にはいいが、 読みなれていない人に…

『人が死なない防災』

東日本大震災から1年経って、時間もでき、 震災の教訓を自分の中で一度整理しておこうと思い、 手に取ったのがこの本。 著者は群馬大学で防災研究を行なう片田敏孝教授。 片田教授は震災前から岩手県釜石に何度も通い、 当地の小学生たちに防災教育を行なっ…

『風の中のマリア』

ひょんなことで、あるお方からお借りして読んでみた。 この本は、オオスズメバチを擬人化してその生涯を描く、 いってみれば「生態小説」でした。 これまで読んだことのないものでした。 オオスズメバチのワーカー(働き蜂)であるマリアが主人公となって、 …

『河北新報のいちばん長い日』

ようやく長いものが読めるようになってきたので、 震災について腰を据えて読もうとまず手に取ったのがこれ。 河北新報という仙台を中心に東北をカバーするブロック紙の、 震災時の奮闘をまとめた一冊だ。 自社のことを自社の手によってまとめた本であるので…

『信じて根を張れ!』

正式タイトルは、 『信じて根を張れ! 楕円のボールは信じるヤツの前に落ちてくる』 帝京大学ラグビー部の岩出雅之監督の本です。 この本について、いろいろと書きたいことはあるのだけど、 一番印象に残ったのは選手が常に元気な状態を維持することを主眼と…

『やればできるさ Yes,You can.』

『やればできるさ Yes,You can.』は、ある親子の軌跡を 書いた本である(主婦の友社刊) タイトルだけを見れば、皮肉屋を鼻白ませる類の本で あるように思えるだろう。 でもまあ、信じられないことがいろいろと書いてある本なのだ。 スポーツの世界で「アン…

『本当の学力をつける本』

保守系の教育哲学を持ち、一時、百マス計算で有名になった 陰山英男氏の著作である。 単行本は2002年に発刊され、すでに50万部以上売れたという。 折しもゆとり教育が騒がれていたころで、これでいいのかという みんなの不安を解消するような形で陰山…