『民主主義はやっぱり最高の……』

著者の橋爪大三郎氏の本を、学生時代によく読んだ記憶がある。
社会学の課題図書になっていたりしたからだ。
氏の本はいつも明快で、非常にわかりやすい。
当時からわかりやすかったが、今読んでもスッと納得できる。
印象に残った話をひとつあげるとすると、
権力者の正当性の話。
政治家は「民意で選ばれた」という正統性を根拠に為政者となる。
王や皇帝が政治をするときでも、武力に訴えるか、あるいは伝統的な権威に
寄りかかるかして、その正統性を得ようとする。
政治というのは、人心掌握がベースにないと成り立たないのだなと痛感する。
考えて見れば、戦国時代の武将だって、出自があやしいもんだから、
天皇の権威を利用して、為政者としての正当性を得ようと模索した。
日本では、フランスのように王様を殺して民主化することはせず、
あくまでも天皇の権威を前提とした政治だった。
ということはやはり、やっぱり日本は天皇の権威、つまり神道の精神が
根強く息づいている国なんだなということがわかるのだ。
本には二大政党制や国会のねじれなんかにも言及している。
政治と民主主義について学びながら、現在の事象も理解できるように
なっている。本書に限らないが、氏の本は一度読まれることをお勧めする。