『本当の学力をつける本』

保守系の教育哲学を持ち、一時、百マス計算で有名になった
陰山英男氏の著作である。
単行本は2002年に発刊され、すでに50万部以上売れたという。
折しもゆとり教育が騒がれていたころで、これでいいのかという
みんなの不安を解消するような形で陰山氏の言説は広がっていった。
「やり方がどうであれ、事実として子どもの学力が伸びていることが
重要」という氏の考え方は明快で、「読み書き計算」が学習のベースであり、
それによって学力は全体的にアップするということが
本の中で一貫して述べられている。
加えて、早寝早起きをして、朝ごはんをしっかり食べることが
授業にしっかり集中できる姿勢をつくるということを語っている。
自分が考えていたことと、ほぼ合致する考え方だったため、
非常に心強く感じた。こういう先生に教えられた生徒はラッキーだ。
10年近く経ってもその主張は少しも古びておらず、
今の時代にいっそう必要とされる考え方のように思える。
この本には「親ができること」という章立てがあり、
親にとって示唆に富む内容となっている。