『ビルマの竪琴』を読んでみました。

名作読書シリーズ②であります。
ビルマの竪琴』を読んでみました。
終戦間近のビルマ(現ミャンマー)で、日本軍が奮戦する。
しかし、奮闘のかいなく終戦を迎える。
そのとき、ミャンマーの別の地域で戦う日本軍の別部隊は
最後まで戦うとして、投降してこない。
そこで、水島という軍人がその別部隊に投降するように
説得にいくという筋書きだ。
読み終わって初めて知ったのだが、この作品は児童文学として
書かれたものであるらしい。
であるのに、序盤で文明論めいた話がある。
日本は科学技術を身につけて文明国になったが、
ビルマの人たちは自然に溶け込んで暮らしている、
どっちが人間として幸せなのだろうか、といったことだ。
これは児童よりも今の大人に響く話かもしれない。
水島はやがて行方不明になる。
中盤は水島が生きているかどうかで話は進み、
終盤は水島が僧侶となっていたことが明かされる展開になる。
水島は、遠くイギリス、日本から来てなくなった、名も知らぬ人を
手厚く葬っているビルマの人々に心を動かされ、
無縁仏となってこの地にさらされている同胞日本人を一体残さず
葬るまでは日本に帰れないとして、ビルマに残ることを選ぶ。
この本を原作として市川崑監督が二度にわたって映画化している。
いつの時代にも通じる普遍性があるからだろう。
二度目に映画化されたときには、中井貴一が水島を演じている。
近いうちに見てみたいと思う。