『日本経済の真相』

マスコミの脳は小鳥程度――
霞が関の官僚はそううそぶいているらしいことが、
本書の冒頭に書いてある。
著者は元財務官僚で経済評論家の高橋洋一氏だ。
曰く、政府が組む予算の資料は2000ページほどあるのだが、
マスコミに配られるのは50ページほどのダイジェスト版で、
多くの記者たちはそれをもとに記事を書いているということ。
「小鳥程度にはこの程度で十分」ということなのだそうだ。
だから氏はここ15年も新聞雑誌をまともに読んでいないという。
それでも日本経済の真相なんていう本が書けるのは、
いまでもこの2000ページの資料に目を通しているかららしい。
ということで、俗説をことごとく論破していく形で
書かれていて、元官僚の言説としては非常に興味深い。
本書では、金融緩和すれば、すなわち日銀がお金を刷りさえすれば、
デフレも円高も是正され、日本は立ち直るという。
ただ、このとき長期金利が上がって、国債利払いが増大してデフォルトを
起こすリスクや、ハイパーインフレになるリスクなどが語られておらず、
小鳥の脳の私でも少し物足りなかった。
ただ、氏の著作の入門書としては、非常に面白い。
氏の他の著作も読んでみたいと思わせる内容だったので、
近いうちにぜひ読んでみたいと思っている。