「他の誰かを助けろ」

私の周囲には、超未熟児で生まれた子がいる。
親によると、医療費が計1000万円かかったらしい。
それは乳児医療が無料だったので、健康保険の範疇でまかなえた。
親夫婦は、裕福な家庭ではあったが、1000万円が払えた
かどうかというと、厳しかったと思う。
「日本というシステムは本当にありがたい」
その子の父親はそういう。
10年前なら医療機器がここまで発達していないので、
この子は生きられなかった。
日本でなければ、裕福な家庭の師弟しか生きられなかった。
いくつもの奇跡が重なって、この子は1歳になり、スクスク育っている。
いまさらながら、生命力というものに驚かされる。
父親は言う。
「子どもには医者になれというつもり。
自分は助けてもらったのだから、今度は他の誰かを助けろってね」