おなじみ「二度と行きたくない店」シリーズであります。
すぐに皿を下げられる飲食店がありますね。
いや、コース料理を食べているんじゃないんです。
普通に定食を食べているときの話なんであります。
事務所のある東京都千代田区のとあるとんかつ屋。
けっこう人気のお店なんですね。昼食時は外までお客が並ぶ。
私もこの地に勤めて9年目ですが、初めて食べに行ってみました。
店内に入ると、6、7人が待っている。
やっとの思いで席に着く。とんかつが出てくる。食べる。
こういう普通のことを済ませた。
そのとき、普通でないことが起こった。
私が重ねた食器に箸を置くやいなや、アズスーンアズで
カウンターにいた親分らしき店員に皿を下げられたのである。
いや、まだ置いてもいない。箸が置かれる1センチ手前で
皿を下げられたのである。未だ箸を置かざるタイミングであった。
聞けば、この店は夫婦で行こうが、付き合って2週間目のカップルで
行こうが、空いている席に別々に座らされるということであった。
そして、そろそろ食べ終わろうとするときには、目の前に次の人が
食べるべき茶碗に盛られたご飯がデンと置かれるのである。
まるで「早く食って帰ってね」といわんばかりである。
昼食時だから混雑しているだけなのに、繁盛していると勘違いしている。
どんなに繁盛していても来た人が一緒に食べられるように、
席を空けて待ってくれるように配慮している店もある。
こういう店は食べるということが、どういうことかわかっている。
食べるときは、単に味覚だけでおいしいと感じているわけではない。
「これおいしいね」「そうだね」と会話したり、店の雰囲気を感じたり、
すべてを堪能してこそ総合的に「おいしい」となる。
タレントの小堺一機さんは、父親と行った南極で食べたそうめんがとても
おいしかったらしく、忘れられないのだという。
「おいしいものを食べる」のではなく、「おいしく食べる」ということが
大切であるということを言っているのです。
どんなに舌に訴える味でも、その他の感覚が刺激されなかったり、
閉ざされてしまうような店には二度と行く気が起きません。
こういう店は早晩、衰退するでしょう。
あのとんかつ屋がどうなるか、そういう意味で見ものです。