理想 

上岡龍太郎さんは「末路哀れは覚悟の上」といっていた。

芸人なんてまともな死に方せえへんと。

最終的には餓死してね、それが理想やね、と。

続けてこういうのだ。

「ただ、人生ちゅうのは理想どおりいかんもんや」

傍らにいた人が

「そんなこと言って~。みんなに見守られながら幸せに

亡くなるんじゃないですか~。そうなったらどうします?」

といったら、こう返す。

「嬉しいね」

こういうやり取りが好きなようで、嬉しそうに語っていた。

悲惨な死に方が理想、だけど人生は理想通りにいかん、

だから幸せに死ぬんだろうね、ということ。

いかにもらしい言い方だ。

彼の最期が理想どおりでなかったことを祈りたい。