影響力 

今でも度々、芸人回顧録の中で登場する上岡龍太郎氏。

占いや超常現象の話題には敏感なことで有名だった。

彼のこうした話題に対するスタンスは、私もまったく賛同する。

かつて自称霊能者の人たちの中には、障害者の商売としていた

人たちもいた。

人々は交霊するとかの真偽はともかくとして、社会の中で

そういう職業を認知し、許容してきた。

こうした歴史的な背景も全部知った上で、上岡氏は

占いや超常現象を安易にTVで扱うことの危険性を危惧していた。

こういうスタンスになったのは、彼の話からすると、

彼の母親とのことがあったのだと思う。

母親が病床に臥せっているとき、霊能者がやってきて

さまざまな儀式をしたのだという。

それに結構なお金がかかったのだろう。

病気の人のところにやってきて、さまざまな儀式をする

自称霊能者はいまでもいるのだろう。

効果のほどはわからない。

わからないものに対して多額のお金を払うのはどうなのか。

そこを突き詰めていくと、自称霊能者は最後にいうだろう。

「生きてる人はそれだけお金を使ったら、死んだとしても納得する」と。

それはそれでひとつの意味のある出来事になるのかもしれない。

だが、そこは一歩間違うと、足元を見てさらに多額のお金を要求する

ようになる危険性と隣り合わせになる。

上岡氏は占いや霊能者のことをある程度は是認しながら、

テレビで扱うことの影響力というものを常に考えていた。

これはマスメディアで働く者は誰でも考えるべきものに違いない。