普通が特別

「何で売れてるかわからん」
と思っていた。
人気ポップアイドルのパヒュームのことだ。
まさかのブレイクだっただろう。
本人たちが一番驚いたのではないかな。
そう思っていた矢先に、ある経済学者の話にハッとした。
その経済学者によると、「いまの若者にとって、普通は〝よい〟という意味」
なんだというのである。
生まれたときから不況だから、自分は普通以下だと思っている。
だから、普通にたどり着くことはランクアップだというのである。
昔は多くが中流意識だったけど、いまは下流のほうが割合を増している。
で、件のパヒュームも
「みんなが言ってる普通って理想に近い」
と歌っているというのである。
結構、現実を言い当てている。
侮っていた私が悪かった。パヒュームよ、ごめん。
売れるのには理由があるのね。
それはさておき、パヒュームがそういうぐらいだから、
やっぱりいまは「普通が特別」なんだなって思う。
普通の幸せを得ることが、どんどん難しくなっている。
ランクアップしてやっと普通である。
大成功など望むべくもない。
こういう世の中で希望は見い出しにくい。
だから、普段の生活で「小さな幸せ」を見つけようとする。
それもまんざら悪い気がしない。
パヒュームはさらに歌う。
「でも普通じゃやっぱり満足できない」