「岩出監督勇退」に思うこと 

帝京大学ラグビー部関連で、優勝ともうひとつ大きなニュースがあった。

今回でチームを10度目の日本一に導いた岩出雅之監督の勇退だ。

26年間の指導で9連覇し、多くの日本代表選手を輩出もした。

メディアの情報であらゆる岩出監督の功績は語られているから

ここでは私が一番凄みを感じるところを記そう。

それは「成功したやり方に安住しないこと」である。

9連覇し、優勝できなかった過去3年間でもベスト4が2回ある。

トップレベルをずっと維持している。

1~3連覇の時代は、肉体を強化してFWを前面に出して勝った。

その後は、BKを育成してボールを大きく動かすラグビーに移行した。

さらにはFWが大きくて強いだけでなく、早くてうまくなった。

毎年、新しい要素を追加した。

結果を恐れず勇気をもって変化させていった。

うまくいったら、同じやり方を踏襲したくなるのが人情だ。

「人は成功という牢獄の囚人になる」という。

成功したやり方に囚われてしまうものなのだ。

これは自分の仕事でもまさに実感するところ。

うまくいくと、同じやり方ばかり選択してしまう。

手近な方法論に手を伸ばしてしまう。

なのに、それをあっさり変えていった。

なぜそれができたのかというと、勝利だけでなく、学生の成長という

視点がブレなかったからなのだろうと思う。

岩出監督の著書を読むと、勝てない時期に

「自分が勝ちたいんだと気づいた」と書いてあった。

そこに気づけるところがすごいし、本に書けるのもすごい!

「(自分が)勝ちたい」から「(選手に)勝たせたい」

「みんなを幸せにしたい」に変化したという。

そうして勝利と学生の成長というダブルゴールを目指した

クラブ運営を目指したのだ。

まだ63歳であと少なくともあと10年は現場でできるだろう。

次のステージでのご活躍も注目していきたい。