手近な属性に飛びつかない 

「森発言」のことを考えている。

果たして「話が冗長」なのは、本当に女性特有の特徴なのか。

私が思うに確かに家庭においてはその傾向はあるだろう。

だけど、仕事の場面になるとまったく当てはまらなくなってくる。

「人による」というのが率直な印象だ。

ただ、一般に年齢を重ねた人のほうが「人の話を聞かなくなる」傾向は

あると思っている。

それは、経験豊富な人ほど知っている話を聞かされることが多いし、

頭のいい人ほどその人が何を言おうとしているか途中でわかって

しまうからである。

この場合、「年寄りはこうだ」と言ってもあまり問題にならない。

世に世代間抗争というのはあるが、大きなことにならないのは、

誰もが年を取るからだろう。

「まあ、そのうちおれも年取るけどな」と思うからだ。

でも、男女間の場合はそれが基本的にはない。

だから「森許すまじ」の思いも強くなる。

自分の気に入らない人を見て「だから女ってのは」とか、

「だから年寄りってのは」といって、その人の属性に理由を

見つけようとするのがよくないのだと思う。

その人の本当のところを見ようとしないで、

手っ取り早い属性に飛びついて安心してしまうことはよくある。

たとえば、「関西人ってだからイヤなんだよ」とか、

「有名大学出てるやつはだいたいこうだ」とか。

手近な属性に結び付けて、自分を納得させてしまう。

これはとても危険。私もたまにやってしまうことがある。

「こういう人は嫌い」っていうなら、その人との関係だから、

何も批難されないんですよね。誰でも嫌いな人はいるからね。

わざわざ攻撃対象を広げなくていいってことだと思う。

先の例の場合、攻撃対象が「関西人」「有名大卒」となり、

一気に広がってしまう。

すると反撃される確率も高くなるのだ。

「女性」っていうと、人類の半分を敵に回してしまう。

恐ろしいですよ。

手近な属性に飛びついてしまっていないか、

安易なレッテルを張って安心していないか、

人を判断するときにはよくよく点検しなければならないと思う。