記紀と日本人の精神性 

大河ドラマも終盤に差し掛かってきた。

明智光秀本能寺の変がテーマなわけだが、

なぜこの事件が起こったのかは日本史最大の疑問だ。

織田信長天皇になろうとしたから、それを光秀が阻止した

なんて御高説を居酒屋で承ったことがあったが、それはないだろう。

信長は伝統的な天皇中心の世の中を維持したかった。

天皇家を打倒すると、その後、民衆の信を得られないことが

わかっていたから、利用することしか考えなかったはずだ。

広く天皇家の威信というものが日本全土に行き渡っていたからだが、

それはなぜなのか。

やっぱり古事記日本書紀でしかないのだろう。

当時、当然、知識人しかこれらの書物は手に取れなかっただろうが、

口伝によって民衆にも伝えられていたに違いない。

記紀は、天皇家=神とするための物語だから、

深くアニミズムが浸透していた日本には、天皇こそが現人神であった。

その意味で記紀を知ることは、

現代日本人の精神性を理解することにつながる。

子どもたちにも教養としてその内容を知っておいてもらいたいものだ。