いま世の中は『鬼滅の刃』、一色だ。
ヒットの理由は、「鬼にも事情がある」にみな涙するからだという。
『鬼滅』の名のとおり、主人公は鬼を滅するために
冒険を繰り返すのだが、対する鬼はただ邪悪なだけの存在ではない。
鬼にも事情があって、鬼になっているのだ。
だから、その鬼をやむをえず退治するときには、哀愁が漂う。
そこには古来、日本人のメンタリズムとしてあった
「罪を憎んで人を憎まず」が作用しているのではないか。
こういう傾向にちょっと光明を見る気がするのは私だけだろうか。
他人の事情を考慮することは、自分の事情も考慮されることに通じる。
優しい社会がやっぱりいいよねってこと。
「一発レッドカード」の息苦しい社会で、
「鬼にも事情があるんだな」という視点で社会をみることは、
これからの時代に必要だ。
「何か事情があるのかも」
そういう想像力を働かせることができる社会にしたいもんだ。