「同調圧力」は本当にあるか?②

法律の原型は、村社会の掟にある。

村の中で従わなければならない暗黙のルール、不文律だ。

農耕社会では、集落が存続していくためには共同作業が必要だった。

だいたい同じ時期に田植えや稲刈りをしないと、収穫量が落ちる。

藁ぶき屋根をふきかえるのに一人では無理だった。

それによって自然発生的に生まれたのが「結い」だった。

結いとは共同作業を意味する。

神奈川県の由比ガ浜は、地引網漁を共同作業で行っていたから、

この名がついたといわれている。

共同作業に参加しないものが多数出てくると、集落の存続が

危うくなってくる。

そのため、「村の掟」を定めて、突出するものが出ないようにした。

そして掟を破ったものは、村八分にすることにした。

火事と葬儀(これが残りの二分)以外の交流を絶つことにしたわけだ。

火事では他の家屋に延焼が広がるし、遺体の処理をちゃんと行わないと

疫病が流行してしまうからだろう。

この「村八分」が制裁として機能していたから、

村の秩序が保たれた。

この制裁はヨーロッパより強く機能した。

なぜなら島国の日本は、所属する集落が気に入らなかったとしても、

海を渡って気安く国外に行くことができなかったからだ。