笑えばふさぐ

大手出版会社の社長が、自社で出している本の著者に
「もうかるにはどうしたらいいですかね」
と訊いたら、
「それは御社がいちばんよく知っているのではないですか」
と返されたという話を聴いた。
こうすればビジネスはうまくいくという本をたくさん出している
出版社自体があまり調子がよくないという話がある。
出版業界というのはだいたいそういうもので、
働き方改革の本をつくっている編集者が
長時間労働をしていたりする。
仕事が嫌で嫌でしょうがないという編集者は皆無で、
みな程度の差はあっても、好きでやっているからそうなる。
自分がやりたくてやる長時間労働は、やっても大丈夫だ。
肉体の疲労より、精神の疲労のほうが、
肉体をむしばむ可能性は大きいと思う。
なにしろ、思うだけで胃に穴を開けられるのが人間なのだからね。
そうだとしたら、胃の穴を閉じることもできるはずだ。
悩み苦しむことで胃に穴を開けられるなら、
その逆をすれば胃の穴をふさぐことができる。
その逆と言えば……やっぱり笑うことかなあ。