達成感と長時間労働

いま長時間労働が問題になっている。
ところが、長時間労働をしたいという人もけっこういる。
したいという積極的な理由の人は少ないだろうが、
「しなければいけないような気がする」という人は
けっこういるんじゃないかと思っている。
この「しなければいけないような気がする」というのは
結構、根が深いという気がする。
会社や上司から暗にそのように求められるという面もあろう。
だけど、本人が自分の意志で長時間労働をしなければいけない
ことのように思ってしまっているのは、理由があるような気がする。
こんなことは考える。
かつては肉体労働だったから、ある程度、仕事をすると、
肉体が疲れてくるから、「仕事をした!」という実感を得られた。
ところが、頭脳労働をする人が増えると、
肉体が疲れるるということがなくなった。
すると、疲れるまで仕事をするので、結果、長時間労働になるのだ。
さらに、今の時代は高度成長時のように、やっただけ仕事の成果が
数字で見えるようになっていない。
そんなとき達成感を得るには、体が疲れるまで長時間労働をすることになる。
達成感を得るとは、もっといえば、生きた実感を得たいためである。
疲れを感じて、酒で癒されないと、生きてる実感がわかないのだろう。
ネットやメールで生身の人間と接することが減った。
バーチャルな世界にいることも多く、すべてを効率的にやろうとするから
恋愛でヤキモキすることも時間の無駄と感じてしまう。
こうなると、もう末期症状だなと思う。
人間らしさを取り戻すことが必要だ。