富士山に高山植物が少ない理由

富士山には高山植物が少ない。
高山植物というのは、高木が生育できなくなる森林限界
超えてなお生育している植物のこと。
ハイマツ、コマクサ、ワタスゲなどがそうだ。
その高山植物は、なぜ富士山にはあまりないのか。
それは富士山は氷河期のあとにできた新しい山だからだ。
高山植物が高山にいるのは、氷河期にやってきたから。
氷河期になる過程で、緯度の高いところ(つまり寒い地域)を
好む植物は、どんどん南下して勢力範囲を広げる。
そして、あるときには暖かい場所を好む植物を駆逐し、
日本列島を覆いつくす。
しかし、氷河期が終わると今度は北に追いやられていく。
その過程で、高地は気温が低いのでそこへ逃げ込む。
周りは暖かい場所を好む植物に取り囲まれ、
寒い場所を好む植物は高地にだけ取り残されてしまう。
そうして取り残されたのが高山植物なのだ。
富士山が生まれてからまだ日が浅いので、
まだ氷河期を経験していない。
富士山にも少しの高山植物があるが、風や鳥が
運んだ種から発芽したものと考えられている。
他の山の上にある高山植物も、近年の温暖化で絶滅が
危惧されているのだそうだ。
富士山ができて1万年ぐらい経つらしいが、
それでもまだ新しい山だなんて、地球のスケールはすごいね。