映画「この世界の片隅に」

この世界の片隅に」という映画が異例のヒット
だというので、さっそく見に行ってきた。
なんで異例なのかというと、ファンがクラウドファンディング
よって、支援して映画化までこぎつけたらしいからだ。
最初は上映館数も少なかったみたいだが、
いまでは全国どこでも上映されるまでになった。
実際、私がチェックしたところでも、立川のシネコン
平日の昼間だというのに7割がた埋まっていた。
この映画は戦時中の広島呉市を舞台に、
広島市から嫁いできた若い女の子が主人公となって
繰り広げられるストーリーだ。
結果からいうと、「火垂るの墓」と戦争アニメの
2大巨頭ができあがったなという感想をもった。
劇中では、戦時中の生活が庶民の目線で語られる。
それこそ、衣食住を子細にわたって描いている。
まずそれが特筆すべき点で、戦禍がひどくなるにしたがって、
庶民の生活がどう変化していったかがわかる。
そして、兵器による戦闘(といっても攻撃から逃げるだけだが)
シーンもとてもリアルで、「これがたぶん本当だ」と
思わせる説得力があった。
そういう記録映画としての評価が高いのがまずひとつ。
私としてもうひとつ評価したいのは、
当時の人たちが運命に翻弄されながらも強く生きた様子が
手に取るようにわかることだ。
運命に翻弄されるだけでなく、与えられた状況のなかで
必死に自分の人生を生きようとする姿は、
私たちの現代の生き方にもヒントになる。
状況は厳しくても自分のやりたいことがやれるはずだし、
些細なことで腹を抱えて笑うこともあるはずだ。
そういうものに目を向け、前向きに生きることの大切さに
改めて気づかされる。
たまには不遇を嘆くこともあるが、それだけではない。
この映画はただつらいだけでなく、ただ反戦を述べているのでもない。
底には人生をまるごと礼賛する精神が流れている。
君の名は。」を見た人にはこっちもぜひおすすめしたい作品です。