「点と線」を観た

社会派ミステリーの傑作と名高い松本清張「点と線」
テレビ朝日でやってたので見ました。
時代背景は昭和30年代なので、
その様子が年配の人には懐かしかったでしょう。
犯人探しというよりは、電車と空路を駆使したアリバイを
どのように崩していくかというミステリーになっておりました。
だいぶ前に本で読んだことがありましたが、ドラマはまた別の意味で
味わい深いものがありました。
なんといっても俳優陣が豪華。
主演をビートたけしに据え、脇を高橋克典橋爪功小林稔侍、
柳葉敏郎市原悦子が固めていて、特に高橋と柳葉がよかった。
高橋さんは安定したいい俳優さんになりましたな。
歌をきっぱりやめて(?)、俳優になってよかった。
織田裕二氏や反町隆史氏のように、中途半端に歌ったりしないほうがいい。
あと、柳葉さんのあのウナギを食うシーン。
狼狽を必死に隠そうとする不自然な態度を演じ切っていて、
職人技の域に達しているとさえ思った。
でも、主演のビートさんがなあ。
ビートさんは普通の演技はいいんだけど、興奮したり、怒ったりなど、
感情をあらわにしたとき、「ビートたけし」が出てしまうんだよなあ。
でも、それほど優秀でもない老刑事の味が出ていたと思った。
普通のドラマと違って、時代背景もあって深みがあった。
戦争で運命に翻弄されたこと、生きて帰ってきたことを背負って
生きていること、この時代の女の生き方など、社会背景をうまく物語の
背景として組み込んでいる。
それが社会派ミステリーといわれるゆえんだろう。
電車のアリバイトリックは西村京太郎の専売特許だけど、
こういうのを外国人が読むとどうなるんだろうか?
外国では平気で電車が遅れるから成り立たないだろうな。