達人の域

いまこういうタイトルの本が売れている。
『フランス人は10着しか服を持たない』
私は思った。
「なんだオレと一緒じゃないか」
「ようやくフランス人のセンスもオレに追いついてきたか」
そう言ってボケたつもりで、突っ込みを待っていたのだが、
正しく突っ込んでくれない人がいる。
ある人は、
「それはあんたに服への興味がないだけ!」と
正しく突っ込んでくれたので、たのしかった。
フランス人は、10着を組み合わせることで、
「持たない暮らし」をする。
それが真のオシャレさんなのだ、金にものを言わせて、
たくさん所有するのがオシャレさんではないのだ
ということなのだろうと思う。
服の組み合わせを考えることはないが、私はできるだけ物は持たない派だ。
必要最低限のもので済ませられるように考え、
ないものはすでにあるもので代用できないかと考える。
(それにたくさんのものを置いておける広い家もないし)
でも、フランス人も服を10着で回せるようになるには、
若いころにたくさん服を買った人だと思う。
料理の上手なおばあさんが、深めのフライパンで、煮る、焼く、蒸す、炒める
とすべて料理がつくってしまえるのと同じ。
経験を積んだからできることで、私のように興味がないのとは違う。
生きることそのものを、このような達人の域に達するようにしてみたいな。