日本のおじさんが世界で一番……

あるサイトにこんなことが書かれてあった。
「日本のおじさんが世界で一番かわいそう」
というフランス人女性の話を、日本人が書いた記事だ。
日本で10年働いたという彼女の「日本人のおじさん観」は
ざっとこんなところだ。


必死に働いても、家族からも世間からもそれほど尊敬されない。
食事も居酒屋で同僚と愚痴を言いながら済ませる。
たまに恋したとしても不倫だ離婚だとなるし、
それもできない人はスナックの女性などに貢いでしまう。
運動もバカンスもしないで働いて、あげくの果てに過労死する。
過労死しないで定年まで勤め上げても、単に会社から
「あなたは老人なのでもういりません」と言われただけのことではないか?


もはや過労死するのはおじさんではなくて、20代後半から
30代の人なのだけど、そのほかのことはだいたい当たっている。
高度経済成長を支えてきた中年男性はほとんど休みもなく、
働きづめという人がほとんどだった。
いま週に35時間しか働いてはいけなくなったフランス(サルコジ大統領
になって変わるでしょうが)から見ると、バカンスにも行かない日本人は
人生を楽しんでいるとは到底言えないということなのでしょう。
でも、日本人は彼らのように公私をきっちり区別していないし、
無理やりつらい仕事をしている人ばかりでもない。
高度経済成長の時代で仕事に没頭してきた、いまの中年男性の多くが、
仕事こそがおもしろいものであったし、自己実現の方法だった。
休みがないからといって不幸では決してなかった。
でも、いまの中年男性はちょっと違っている。
昔のように仕事をおもしろがり、やりがいを感じている人も多いが、
ダイナミックに経済が成長していくというよりは、
概して、どれだけルールをきっちり守って、効率化するか
という仕事になってきた。
そこにストレスが生まれる余地ができた。
充実した仕事ができていれば、たぶん休みなどなくてもいいのだろう。
人は夢中になると、寝食を忘れて没頭するものだ。
いま寝食を忘れて没頭できるような仕事がどれだけあるか。
とはいえ、日本人のおじさんもフランス人女性に同情されるほど
つらい人生を送ってもいないとは思う。
彼らはけっこう自由にやっている。
面倒くさいことはやらなくてよくなったようだし、
ある程度自由がきくお金ももっている。
そういうおじさんらが周りにいるからわかる。
彼らをあるときは手本にし、あるときは反面教師にして
フランス人女性からもたのしそうだと思われるおじさんになりたい。