楽しむべきか、勝負にこだわるべきか

楽しむべきか、勝負にこだわるべきか
15年間、野球をやるなかで、いつもこの問いがあった。
そして選手を辞めてからも、いろんなスポーツの試合を見たり、
書かれたものを読むなかで、もう何周も
「やっぱり勝つべきだよな」「いやいや、楽しまなきゃ」
の思考の変遷を繰り返してきた。
そこでたどり着いた結論は、「楽しんでやるべき」だ。
ただ、この「楽しむ」は、冗談を言い合ったり、ふざけあったりして
笑いあう楽しさではない。
自分がやりたいことをやって上達できている、成長できている
と感じることができ、充実感を得られる状態が「楽しい」だ。
この状態にあってこそ、「勝ちたい」と思うのだし、
練習も自分からするようになる。
ここでいう「楽しい」の状態がベースにないと、
厳しい練習は「苦しく」て「つらい」だけだ。
でも「楽しい」があれば、厳しい練習は、
「しんどいけど、つらくはない」状態になる。
「しんどい」だけなら続けられる。
でも「つらい」状態になると続けられない。
「しんどい」と「苦しい」「つらい」のとは違う。
充実感があれば、しんどいことは耐えられる。
これは実は、スポーツだけでなく、他の芸術系の習い事や
仕事にも当てはまる。
「自分が成長していると感じられ、充実感がある」
これがあれば、しんどい仕事も続けられる。
しんどいことも「楽しい」になってくるのだ。
成長を前提にすれば、しんどいことも肯定的にとらえられる。
そして、人間は何歳になっても成長するものだ。
そう考えることができたら、人生はすてたものではないと思えるのだ。