立場が違えば

最近、特に感じるのは出版社の編集さんたちが
さらに慎重になってきているなということ。
出版不況だからリスクをできるだけ軽減したいのだ。
彼らは売れ残れば在庫を抱えることになるから、
リスクをなるべく取らない企画を考える。
上の立場になればなるほど、守りに入ってしまうのだろう。
以前はそういうのを「なんだかなあ」と思っていた。
でも、いまはそういう人の立場をわかるつもりでいる。
立場が違えば考え方も違って当然だ。
一方で、私たちのようなフリーランスのような人間だと
本が売れ残ったところでギャラが減るわけではない。
最近は実売印税というのもあるが、出版社ほどのリスクを
見積もる必要はない。
だから思い切った企画を立てられる。
もしかしたら少しは売れるかもしれないが、
まったく売れない可能性もあるよね
というとんがった企画を立てられる。
これがみんながリスクを取れない、責任を取らされる立場
ばかりの人になったら、とんがった企画は出てこないだろう。
私たちはとんがった企画を出し、それを編集者、とりわけ
偉い立場の人が、高所からダメだしをするというのは
理にかなったやり方だ。
結局、慎重な彼らを口説ける企画でないと
売れやせんということだ。
そのつもりでこれからも企画を考えていこうと思う。