経済成長が必要な理由 

私は経済について大学で学んだことはなく、
アダム・スミスケインズについて、知っていることはほとんどない。
でも、仕事をする上で実地で学んだことや、一流の講師陣(取材対象者)
から学んだことがたくさんあり、自分なりの意見を持っていると思う。
それらの知識に、自分の日々の生活の中で実感することをプラスさせて、
だいたい「経済ってこういうことなのだろうな」と考えている。
かつて、経済成長について元財務大臣に話を聞いたことがある。
彼の説としては、社会保障費が毎年2兆円増えるから、
それをまかなうためにはGDP成長率として2%が必要なのだという
論法だった。
私たちが目指している経済成長というのは、社会保障費をまかなうため、
あえていえば、社会保障費が増えるぶんを新たに生み出すことで、
現在の生活を維持するために必要な数字なのだった。
こういう社会にしたいから、これだけの経済成長というのではなく、
これだけ増えるからこれだけ稼がないとね、そういうことなのだった。
ものすごく主体性にかける話だと思った。
生活の維持のために成長が必要だというのだ。
成長してやっと維持できる。でなければ、衰退だというのである。
社会保障費を今の水準で維持しなければならない理由はなんだろう?
それは地域のコミュニティが崩壊しているからだ。
昔は年金なんかなくても、家族が面倒をみたし、家族を地域が
助けるシステムがあった。
でも、それがなくなったので、老後の命を担保するのは
お金でしかなくなった。
だから、社会保障費を維持することが必要なのだというのだ。
乱暴な言い方をすれば、
お金をあげるから、自分のことは自分でしなさいね
というのが日本の社会システムなのだった。
そういう社会を選んだのは、私たち自身だ。
若くて働けるうちは、それでもいい。
でも自分が年寄りになったとき、そういう社会が住みよいものじゃない
と気づいてももう遅い。
だったらどうしろというのかと言われても、返答に困るのだけど。