勝利の方程式

ライターという仕事を始めた23歳のころからの数年間で、
社内外の先輩たちから、どうやったら本が売れるか、
勝利の方程式のようなものがあるのか何人かの人に聞いた。
他の業界では考えられないことだが、当時から今においても
ロジックに基づいたマーケティング手法はありえず、
編集者の経験則からくる、勘に頼ってつくっていることを知った。
本にニーズとかってあまりないからね。
もともと必要があって本を買う場合もあるけど、
多くの場合は本屋さんにいって、「あ、これおもしろそう」って
ことで買うんであって、困ってることの解決として買うわけじゃない。
それでももうちょっとマーケティングしてもよさそうなものなのに
と思ったことをよく覚えている。
その時出た結論としては、
「大先輩達が30年かかって勝利の方程式がわからないのに、
自分がわかるはずがない。だったら人間を高めるしかない」
ということだった。
世の中の方向性とか、あるべき姿みたいなものに、自分の生き方が
合致していれば、なんとか生きていけるんではないか
そんなことを考えながら、もう15年経った。
いまでもその思いは変わってない。
小手先のテクニックは長い目でみれば通用しない。
夜明け前が一番暗いというが、そうなることを願いたいものだ。