「自主性を重んじる指導」

先日、NHKで高校駅伝で有名な兵庫県西脇工業の陸上部の
ドキュメンタリー番組が放送されてました。
西脇工業、考える力で強くなれ」です。
西脇工業のことは以前から知っていました。
陸上版スクールウォーズみたいな話で、かつては荒れていた学校が
陸上部の活動で誇りを取り戻し、就職率が上がっていく話でした。
そのときの監督、渡辺公二さんから引き継いだ現足立監督と選手の
物語が今回の番組です。
途中から見たのですが、こういうのが好きなので思わず見入った。
2つの話がありました。
1つは、マネージャーを務めていた3年生のA君を、オープン参加する
Bチームのメンバーに入れることを他の生徒が申し出てきたこと。
Bチームと言えども、限られたメンバーなので、他に走れない選手は
いっぱいいる。それでもA君を走らせたいと思ったのは、
A君は走るのが好きなのを知っており、マネージャーとなってからも
自分でひとり走っていたのをみんなが知っていた。
また、マネージャーとしてみんなを支える仕事ぶりが評価されたからでもある。
「がんばってるあいつを走らせよう」そういう仲間の考えがすばらしい。
その一方で厳しい一面もある。
西脇工業では、予選会で走る7人の正メンバーと補欠3人を選手が
話し合って決め、監督が承認する。
最後の1人を選ぶ段になって意見が割れた。
ミスもあるが実力もある2年生のB君、
堅実で伸び盛りの1年生のC君のどちらにするのかというのだ。
最後にそれぞれがアピールする。
涙ながらにアピールするB君だったが、3年生を主体に話し合った結果、
選ばれたのは1年生のC君だった。
監督もこれを承認した。
そのときのキャプテンの言葉がいい。
「Bはまだチャンスがなくなったわけじゃないんだから、腐るな」
本番の時には、1人のランナーに1人のサポートメンバーがつく。
キャプテンがサポートメンバーに選んだのはB君だった。
キャプテンは、自分の走りや走るまでの準備の姿を見せることで、
Bへの奮起の材料を与えたわけだった。
自分たちで選んだからには、自分たちに責任がある。
責任があるから本気で考える。
そうやって自立した選手は、走りにもそれが出る。
どうやら、現代のスポーツシーンでは、自主性を重んじる指導を
しているチームのほうが結果を残せているようです。
監督がすべてを管理して、スパルタで鍛えるのもそれはそれで
意味がありますが、その先にはやっぱり自らどうなりたいかという
選手自身の意志が影響するのでしょう。
とはいえ、どのチームにも段階があるので、すべてのチームに
自主性を重んじる指導がハマるとは思えません。
チームが成熟してきた段階で、指導者は徐々にその手綱を緩め、
選手の自主性を重んじる方向にシフトしていくのがいいのかもしれません。
高校駅伝は12月23日スタートらしいです。
西脇工業の活躍が楽しみです。