お父さんの「子どものころの名前」 

長女はたまにわからんことをいう。
「お父さんの子どものころは何て名前だったの?」
というのである。
「お父さん」はいわば役割としての一般名称であって名前ではない。
だが、彼女は「お父さん」は大人になってからの名称で、
子どものころは自分と同じように「〜ちゃん」という
名前があるのだと思っているようなのだ。
出世魚じゃあるまいしね。
以前、幼稚園の学級通信のようなものに園児たちの会話があった。
「うちはお父さんっていうんだよ」
「うちとおんなじだ」
「おんなじなまえなんだねー」
そんな感じだったと思う。
微妙に3歳児の中でも勘違いが生じている。
で、彼らは一般名詞と固有名詞があることが
まだ理解できていないということが、この話からわかる。
「お父さんは役柄みたいなもので、ちゃんと○○っていう
名前があるんだよ。『お父さん』は名前じゃないんだよ。
子どものころから○○で、今も○○なんだよ」
というけど、
「違うでしょー」といって受け入れない。
「またまたー、そんなこと言ってー」みたいなニュアンスなのだ。
そんなだから、
「岡山のおじいちゃんはお父さんのお父さんであって、
神奈川のおじいちゃんはお母さんのお父さんであって、
それぞれ名前が別にあるんだよ」
なんていうともうパニック。
「わかった?」と聞くと、「うーん」といったきり黙ってしまう。
こういう会話をしてるときが、至福の時間ではあります。