変わらないもの

ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。
よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、
久しくとどまりたるためしなし。


この文言ではじまる方丈記は、鴨長明が1200年代に執筆したものとされている。
その中に、「最近の親はわが子に奇抜な名前をつけすぎる」といった
意味の一節があるのだという。
いまから800年以上も前から、子どもに特別な名前をつけるのは
当たり前だったということ。いつの時代も変わらぬものだということがわかる。
鴨長明が冒頭に言いたかったことは、
万物は流転し、河の流れのように、絶えず変転万化するものだということ。
つまり、仏教でいうところの「無常」であった。
ところが、ひと角の人間になってほしいという親の子への思いは
昔とそれほど変わらないらしい。
目に見える現象は時代によって変われども、血のつながりというものは、
この万物が不安定な時代にあっても、確かなものなのだろう。
これまで「トンデモネーム」をつけるよその親のことを白眼視してきたが、
自分と趣向が違うだけで、子どもを思う気持ちは同じなのだろうと少し反省した。