新参者

20年も生きていた実家の猫が死んだ。
浪人時代に昼夜逆転した生活をしながら、受験勉強するぼくと
息抜きで遊んでくれたやつだった。
長生きもいいところで、十分に天寿をまっとうしたんではないかと。
その死のちょっと前に、新しい子猫を姪が連れてきた。
死んだ猫の幼い頃を思い起こさせるような、同じ黒い雑種の猫だ。



名前は「ネロ」だそうです。


先代の黒猫が、「もうおれっちは死ぬから」と
新しい子猫を連れてきたんだろうか。
でも、死ぬ間際まで子猫は、老猫にまとわりついてじゃれていた
というから、そうでもなかったのかもしれない。
死ぬ時ぐらいそっとしておいてくれと思ったことだろう。
いま一番遊びたい盛りで、
「止まったら死ぬのか」と思うぐらい動き続けている。
子どもは子どもでかわいいけど、猫は猫でかわいいんですな、これが。