「フォッグ・オブ・ウォー」

戦争の中では判断力や理解力には限界がある。
そういう中で、都合のよい選択をしようとする。
インタビュアーがいう。
「(人間は)見たいものをみる」
マクナマラがいう。
「そのとおりだ」
霧の中で見たいものを見て、
「だから戦争をすべきなんだ」と主張する。
なぜ戦争が起きるか、ある意味でこれがすべてを言い表している。
続けてマクナマラがいう。
「正しい判断、客観的で合理的な判断ができると考えるのは錯覚だ」と。
話はマクナマラが生まれた第一次大戦からベトナム戦争に及ぶ。
太平洋戦争で従軍し、冷戦時代、ベトナム戦争時代に国防長官だった
マクナマラ氏の述懐と当時の映像で構成される映画だ。
戦争をはじめる決断を下した当事者の一人ということで、
ひきつけられるものはあったが、自己保身するような言い方はないにせよ、
内容的に必ずしも信用できるものばかりではなかった。
ただし、前に述べたような、戦争に踏み出していく精神状態というか、
国家の意思決定の道筋が少しはわかったような気がするし、
それが不確かなものゆえの危うさも感じた。
当時の状況を別の人物からも聞いてみたいものである。