10分で出来上がる本

「コーヒーを飲んでいる間に、本つくります!」
というコンセプトのオンデマンド印刷機三省堂書店に登場した。
今まで店頭に在庫がない本は、書店あるいはネットを通じて
注文するしかなかった。
これには日数を要した。書店では「2週間後に入ります」なんて
ことになり、「そんなに待ってられるか、すぐに読みたいんよ」と
いう人は多かった。
2週間後というのは、出版業界の流通形態からしてしかたないとしても
もうちょっとどうにかならんかなあと誰もが思っていた。
そこにできたのがオンデマンドサービスだ。
これまでにも小ロットのオンデマンドを請け負うサービスはあったが、
三省堂のオンデマンドサービスは、店頭で1部から印刷できる点が
これまでと違っている。
いわば小さな印刷会社があるようなものなのだ。
マシン自体は、通常のオフィスコピー機を三台連ねたぐらいの大きさで
意外とコンパクト。
リストにある書籍ならば、10分で本にできる。
本自体は、ソフトカバーで、ペーパーバックみたいな見た目だ。
紙の質感や文字の並びの美しさは、通常の本にかなわないが、
絶版本や海外の論文を冊子で読みたい場合などは十分だろう。
マシン自体はおそらく1000万円以上するはずで、
もとをとるには何万、何十万冊と売ることが必要だろうが、
このサービス自体でもうけることは考えていないように思う。
「うちはこんなこともできまっせ」というアピールと、
来る電子書籍市場を睨んでのことと思う。
このマシンを使えば、電子書籍のみで出版されたものを、
「紙でも読みたいわ」という人に売ることができるわけだ。
書店もさまざま努力している。
こちら作り手も負けずに努力しないとね。