amazonがくる。その2

amazonがくるという話を二週間前に書きました。
いろいろ調べて、もうちょっと状況がわかってきたので、
ここらでまとめておきたいと思います。


まずおさらいです。
いま電子書籍販売サイトはたくさんありますが、乱立していて
読者の利便性が上がらない状況になっています。
これが時間はかかっても2,3に集約していけば、
利便性があがって電子書籍市場は飛躍的に発展するでしょう。
紙の本にはない、「端末を購入する」というハードルがあるので、
スマートフォンでも読めますが、年配の読者にはつらい)
そのハードルを越えてもらうには、
「新刊本はすべて電子書籍で読める」
という認識を読者に持ってもらう必要があります。
つまり、書籍ごとに出版社のサイトをめぐるのではなく、
1.ワンストップ(ひとつの操作で完了する)ですべてが完結する
電子書籍サイトが2,3になったとき、
2.新刊本がすべて電子書籍で読めるようになったとき、
という、2つの条件を満たしたとき、本当の電子書籍の時代に
なると思います。
価格は安くなればそれにこしたことはありませんが、
そのよりも上の2つのほうが訴求力はあるはずです。
ところが、そうなるにはまだ時間がかかりそうです。


で、現状はというと、
amazonは今年秋にも電子書籍を売るつもりのようです。
すでに40社の大手・中堅出版社と電子書籍の販売契約を交わしたとのこと。
その契約の内容は不明ですが、著者と直接取引されて
中抜きされる前に自前の利益を確保したかっこうでしょう。
ただし、価格決定権はamazonにあるとのこと。
そして、いまだに落とせないいくつかの出版社には、
編集プロダクションを通じてはたらきかけているようです。


アップルはiBooksという、音楽でいうiTunesのような販売サイトを
もっていますが、いまだ日本語の書籍はないに等しい状態のようです。
日本勢はというと、楽天koboというカナダの電子書籍事業者を買収、
モトローラがつくる端末で攻勢をかけようとしています。
これにグーグルがどう絡んでくるか。
アップルは、自分たちはハード屋さんだと思っているし、
amazon楽天は、ネットショッピングの会社だと思っているし、
自分たちの弱いところを、企業を買収する、協力関係を組むなどして
ハード(端末)、ソフト(販売サイト)を両方備えた、
一体型サービスで勝負してきている。
それに対して他の日本勢は、販売サイトだけ、端末だけといった
展開だからどうしても訴求力が弱いわけだ。これは出版社も同じ。
本来なら、大日本、凸版印刷あたりが電子書籍サイトをつくり、
パナソニックソニーなどと組んで端末をつくり、
出版社を束ねて、すべての端末で読めるようにすればよかった。
でも、印刷会社は、取り次ぎや書店との関係が深いから、
そんなことできなかったわけだよね。
まごまごしてる間に、アップル、amazon、グーグルがやってきたわけです。
日本の出版人たちは、外資に大事なところを握られたくないと
みんな思ってますよ。
でも、もうそんなこといってられなくなってきた。
アップルだろうが、amazonだろうが、グーグルだろうが、
なんでもいいから、買ってもらうしかないってね。
読者にとってみれば、どこにお金払っても同じなんで、
便利になったほうがいいに決まっている。


ここまで考えを整理してみると、やっぱり思うのが、
読者が置き去りにされているなっていうこと。
いま日本各地でどんどん町の本屋さんが潰れていってます。
ネットショップで紙の本を買えない人は、たくさんいます。
電子書籍は、そういう人に本を届けられるものだと思うのですが。
なんでかっていうと、ipadはパソコンがないとできないけど、
amazonの端末キンドルは、パソコンがなくてもできるから。
紙の本はやっぱりいいものだけど、本の本質ってやっぱり、
何が書かれてあるか、そしてそれを読んだ人が何を感じるか
だと思うのですよね。
その本質は、電子書籍になっても損なわれないはずです。
これからは絶版とか、文庫、新書なんていうくくりもなくなる。
必要な人に、必要な情報を、どのように届けられるか。
そういう根本を抑えているところが勝ち残っていくんじゃないかなあ。