「ワールドトレードセンター」

何ヶ月ぶりかの映画鑑賞。
テレビ放映されていたものを録画したものを観ました。
アメリカでは、軍人や警察、消防士など、公のために身を危険にさらす
人たちを英雄視する文化がありますよね。
そういう映画を定期的につくって、ナショナリズムを醸成してるんだ
という説を聞いたことがありますが、本当でしょうか。
主演は私の最も好きな俳優のひとり、ニコラス・ケイジです。
ニューヨーク市警の主任を務めるニコラスさんと、その部下(?)の
ヒメノ(役名)が倒壊したワールドトレードセンターに生き埋めとなる。
翌朝救出されるまでの十数時間を描いたドラマです。
場面は大きく分けてふたつ。
ひとつは生き埋め現場。もうひとつは残された家族たちが心配する場面。
この二つの場面に集約し、誰がどんな目的でテロに及んだかなどという
難しい話はいっさいしません。
現場に居合わせた市井の人たちを描いており、目線はぐっと低い。
否応なしに、先日のチリで起きた鉱山閉じ込められ事件を思い出す。
死を意識したとき、思い出すのは家族のことや、昔のこと。
自分がどのように生きてきたかということなのだろう。
自分が子どもとして、親として、夫としてどうだったか振り返る。
反省し、「生きて帰ったら、もっと大事に生きよう」と思う。
家族も同じ。
「最後に話したことを覚えていない」と劇中の妻は泣いて叫ぶ。
もし夫が死んだら、「どうしてもっと話をしなかったのか」と反省する。
死を意識してはじめて気づく。
そういうところを丹念に描いていて好感がもてる作品だった。