GDPと幸福の関係

フランスのサルコジ大統領が、GDPに変わる新しい指標を
つくることが必要と表明した。
GDPと幸福とは関係がないからだというのだ。
これに影響されたのかされていないのか、
鳩山首相も同じようなことを言い出している。

GDPと幸福とは、関係がないことはない。
ただ、GDPは一人当たり1万ドルを超えると相関は見られないのが
通説となっている。つまり、ある一定の物質的豊かさを享受すれば、
それが「普通」になってしまうので、もはやそれだけでは幸福感を
得られなくなってしまうというのだ。
GDPとは別の「豊かさ」を求めなければ幸福感は得られない。
マズローという学者が「欲求階層理論」で、人間は


1.生理的欲求
2.安全・安定性欲求
3.所属・愛情欲求
4.尊敬欲求
5.自己実現欲求


の順に欲求を高めていくと唱えている。
1は食べることができること、眠ることができること、運動することが
できることといった生理的欲求のこと。これが満たされると、次は
安全な状況を求めるようになり、次に集団への所属を希望したり、
友人や愛情を得たいと思う。
それも叶うと、次に他人からの尊敬や責任ある地位を得たいと希望する。
最終的には自分の成長の機会を求め、自分固有の能力の活用ができ、
潜在能力が引き出されることを求めるようになるというのである。
ある程度のGDPが稼げるようになると、人間として基本的な欲求である、
1や2の欲求は満たされ、3,4,5といった欲求へ向かう。
しかし、1,2はGDPを上げることで満たされても、
3,4,5はGDPとは関係がないのである。
またそれを測るものさしもない。
結局、国や人間社会として「何をもってして成長・進歩とするか」が
はっきりしていないと、どこにもたどり着けないということなのだ。
1や2を満たすことのできる、ある一定の経済レベルに達したら
次の段階では新しい「成長」のものさしをつくることが必要だ。
ほとんどの先進国ではこの課題をつきつけられている。
ブータンのように、「国民幸福度」を国の目標として掲げる国もある。
日本は何をもって「成長・進歩」とするべきなのか。
日本人一人ひとりが考えないといけないことである。