数字のまやかし

ニュースでよく見る数字は、その内実を知らないと
本質を理解することが難しく、ときに誤った解釈をしてしまう。


たとえば、「日本の食料自給率は40%(カロリーベース)」という数字。
この数字の分母は「国民1人1日当たり供給熱量」であり、
分子は「国民1人1日当たり国産熱量」である。
「国民1人1日当たり供給熱量」は人々が買った食物の総量である。
しかし、買ったものすべてを食べるわけではない。
賞味期限がきたとかで、一説によると25%が捨てられているといわれる。
(捨てられる食品のうち40%は賞味期限前というデータもある)
ということは、「捨てるぶんも買っている」わけだ。
つまり、こういうことだ。
100個のミカンを買うとしよう。
60個は輸入し、40個は国産である。
そのうち、25個は捨てている。
計算上は、25個捨てるなら35個だけ輸入すればいいことになる。
そうなると分母は75、分子は40となるので自給率は約53%となる。
廃棄をへらせば自給率を50%にすることはできるのかもしれない。
自給率にはいろいろあって、生産額でいくと自給率は70%になる。
これは輸入作物が低価格だからで、この数字にはこの数字の意味がある。
「食料自給率」には複数あり、「強調したい問題」によって
有利な数字を使いわける。
それをやっているのが、官僚とマスコミだ。
官僚は自分たちの施策が通って予算がもらえるように、
「ほら、こんなに自給率が低いでしょ。だからこういう予算を下さい」と
やっている。メディアの記事も、書く前の仮説に沿うような数字を
どこからか探してきてはめ込んでいる。
そういう数字を闇雲に信じるよりは、奥さんの買い物についていって
どの食品に輸入物が多いのか、
自ら実感することのほうが大切なような気がする。