「自分で考えなさい」はいけない

『「痴呆老人」は何を見ているか』では、ひきこもりについても述べている。
そのなかで気になったのは、
「自分で考えなさい」という親の教育の影響についてです。
日本が欧米式の「自立」を促す教育に感化された結果、
「自分で考えなさい」「自分でそれでよいと思ったらそれでよい」
という教育をする親が増えたという。


最近は「自立」に加えて、「過保護」になるまいとする親が増えた
せいもあり、さらに「自立」を促す教育が強化されたように私は思う。


このように、判断基準を与えられないまま判断しなければ
ならない子どもは漫画やアニメの主人公に自分をなぞらえたりする。
身近な疑問や不安を大人に解消してもらった経験がないと
新たな誰かに相談できない。相談することは、主体性のないことだから
よくないという刷り込みがなされているからだ。
悶々とするうちに浮かんでくる対応策は、自己決定をしなければ
ならない場面から意識的に遠ざかることであり、
「ひきこもり」のはじまりである、というのである。
この本の著者は大井玄という医者だが、まったく同じことをある
有名私立小学校の元校長先生からも聞いたことがある。
「親から判断基準を与えられぬまま成長すると、情緒不安定になる」
というのだ。


医者と教育者というまったく違うアプローチからの説なのに
不思議とつながった。私もまったくその通りだと思う。
こう書くと、親への依存心が強くなるのではないかというのだが、
心配しなくても10歳ぐらいになったら親の言うことに
反発するようになるという。
そこから彼ら彼女らの、独立独歩の道が始まる。
「これナーニ?」「「どうして○○なの?」と言われたときは、
答えを出して導いてやることが大切なのだ。