枕元に「ゴジラ対モスラ」

50代前半のわが上司は無類の酒好きである。
逸話も多い。
一緒に飲んで帰るその後ろ姿は千鳥足なのだが、
毎回生きて帰還できているのが不思議な人物である。
その彼がいきなり言う。
「こないだ、寝て起きたら枕元にデアゴスティーニ
ゴジラモスラ】が置いてあってびっくりした」
というのである。
どうやら飲んだ帰りに会社の最寄り駅の近くの書店で買ったらしいのだが、
本人、まったく覚えていないのだという。
「欲しいなと思っていたんだが……」
電車の中で50代前半の男性が【ゴジラモスラ】を開いている姿を
想像すると、なんともいえないおかしさがこみ上げてくる。
しかもそれをご丁寧に枕元まで運んでいる。
泥酔しつつも枕元でコジラとモスラを眺めていたのだろうかと想像すると
さらにおかしさが倍増する。
そして、目を覚ましたときの「なんじゃこりゃ」を想像すると、
もう声を立てて笑わずにはいられないのである。
泥酔している人にまで魅力が伝わるゴジラモスラはたいしたものだ。
自分がそういう状態になったら何を買うのかな。
買ってはいけないものを買いそうでちょっぴりこわい。
まあ、泥酔することはないけれど。