程度の問題

ワイフには友だちが多い。
結婚するまではそうでもなかったようだが、
妊娠友だち、ママ友だちが一気に増えたようだ。
そういうママさんたちからこんな話を聴くという。
ママさんたちが夜、赤ちゃんたちの寝かしつけをしているところへ
だんなたちが帰ってくる。
ところが、夫に何度言っても「ドアを静かにしめない」といって
怒っているのだそうだ。


帰ってきてドタバタやるから、
せっかくあたしがここまで熟成させたのに
また寝かしつけを最初からやんなきゃいけないじゃないの


ということである。
赤ちゃんはだっこして眠るまでに15分から長いと1時間以上に
なることもある。せっかく眠ったと思って、布団に置いた瞬間に
目を覚まして泣き出すことがよくある。
まれに寝つきのいい赤ちゃんもいるが、多くはそんな感じなので
母親たちは大変苦労する。
だから、だんなに対する風当たりも冷たくなる。
でも、だんなからしてみれば、仕事との切り替えがうまくいかなくて、
注意が行き届かなかったり、静かにドアを開けて帰ってきたつもりでも
神経が過敏になっている母親たちからすれば、
「ドタバタと帰ってきてうるさい」ということになる。


そういう話を聞いて、ほとんどの夫婦ゲンカのたぐいも
同じようなものだなと思った。
「そういう言い方はないんじゃないの」とか、
「洗い物がうまく洗えていなかった」とか、
「掃除が行き届いていなかった」とか、
「洗濯物がうまく干せていなかった」とか、
人はそういうささいなことでケンカをするが、
どれも程度の問題で、根本的に間違ったことをしているわけではない。
「あれだけはやめてほしい」というのよりましである。
だから、相手が10してほしいと思っていることを、
自分は10しているつもりでも相手には5でしかないというだけなのだ。
この差を埋めるのはなんでしょう。
やっぱり思いやりと会話しかないのでしょう。
誰しも人間だから、虫の居所の悪い日もあるでしょう。
でもグッと耐えてみる。
そういう人間力を蓄えるための修業のようなものだと思えば、
結婚生活も子育ても、もう少しおもしろくなるかもしれない。