ブラック・ブック

ナチスから逃れるユダヤ人女性のたくましい生き様を描いた映画。
友人に勧められて観たが、これはなかなかの良作でありました。
この映画では裏切る人と、裏切られる人がたくさん出てくる。
裏切るということは、まず信用が先にあってのことだから、
裏切るには当たらないケースもある。
そもそも内通している場合もあるということです。
そうなると、裏切りではなくて、スパイです。
最初は信じていて、途中で見限ったら、それは「裏切り」、
最初から信じていなくて、頃合いを見計らって切れるのが「スパイ」。
どの人のケースが裏切りで、どの人のケースがスパイなのか、
よくわからない。そこが、観た人が後から推理してたのしめる。


映画的なおもしろさはそんなところだけど、
現実にヒントを得た映画という側面から考えると、
つらい話というしかない。
戦争というのは、人の良い面も悪い面も、
すべて野にさらされるようなむなしさがあります。
やりきれなさの奥に、主人公女性のたくましさに救われた気がしました。