本はどこからくるの?

地球温暖化問題が取り沙汰されて久しい。
15年ぐらい前には言われていたようだが、近年の異常気象も手伝って
広く一般に知られることとなってきた。
ぼく自身も環境問題について関心をもっているつもりだが、
以前、印刷所を見学してからさらに関心は高くなった。
本ができる行程を見させてもらったのだが、それをみた次の瞬間、
「本が生まれる瞬間のことはわかった。じゃあ、死ぬ瞬間はどうなの?
どうやって本は断裁されるのだろう?」と思った。
そして、紙の原料となるパルプはどこの木材からつくられており、
断裁された本のくずは、どうやって処理されるのだろう?
自分がつくった本の最初から最後までを知っておきたい
と思ったことが最初の動機付けだった。
調べてみると、現在、紙の原料は古紙が50〜60パーセントで、
残りは国産・輸入の木材チップからのパルプと、輸入パルプである。
輸入パルプが71%を占めており、残りが国産。
その輸入パルプがどこから来ているかというと、
針葉樹も広葉樹もオーストラリアが30〜40%を占めている。
つまり、めちゃくちゃに単純計算すると、
本100冊のうちの50冊が古紙で、50冊はパルプから。
パルプの50冊のうち、35冊は輸入パルプで、
そのうちの12冊分ぐらいがオーストラリアの森林のおかげといえる。
古紙ももとは樹木からできているわけだから、
自分が本をつくっているせいで確実に森林を減らしていることがわかった。
大手出版社はそういうことに当然ながら関心を持っていて、
たとえば、小学館は紙資源確保とCO2削減を目的に、日本製紙
三井物産の支援を受けて、オーストラリアでユーカリの植林事業を
行うという。すばらしいことだ。
地球温暖化や環境問題について、
まずは自分の身の回りから考えることが必要だと思う。
今後も自分の仕事の影響というものを常に意識していたい。