これでいいと思えない!

交通事故後、思ったことはたくさんある。
そのなかにエアバッグのこともある。
事故では運転席、助手席ともエアバッグが開いた。
あれって、火薬で爆発させるんですね。
それはいいんです。
でも、新しいエアバッグを入れようとすると、
30〜40万円ぐらいかかるというのです。
廃車を決断したのはこのことがあるからです。
壊れた箇所を直すなら20〜30万円でできるかもしれない。
けれど、それにエアバッグまで直すとすると、50〜70万円ぐらいか
もっとかかるということになるかもしれない。
だったら新車を買おうということになる。
メーカーとしてもそのほうがうれしいのだろう。
たぶん、事故した車を乗ろうという人が少ないから、
メーカーもそういう対応をしていないのだ。
エアバッグが安価に取り付けられるなら、もっと多くの車が
廃車にならずにすんだはず。
結局、消費、消費、消費、そして消費なのだ。
新しいものを買えばいいじゃん、そういう考えなのだ。
今の子どもたちは壊れたら直して使うということを知らないという。
包丁が切れなくなったら新しいのを買う。
電池が切れただけでも壊れたと思って新しいのを買う子どもを笑うことは、
私たちにはできないだろう。
大人の社会がそうなのだから、子どもたちが将来、モノを直して
使うという考えになるはずがない。
町工場の職人さんを取材したとき、職人さんたちもそのことを嘆いていた。
修理して使うより、買うほうが消費社会では正解なのだ。
そういう世の中をみんなしてつくってきた。
しかし。
ねえ、ほんとにこれでいいの?
壊れたらポイ。それでいいの?
修理して使うのは貧乏くさいの?
新しいものは善で、古いものは悪なの?
地球温暖化などマクロの環境問題はいまだあるが、大気汚染や水質汚濁
といった高度成長期に問題になった環境問題はほぼ解決した。
ところが最後に残っているのが、ゴミの問題だ。
山の中を車で走っていると、産業廃棄物が、
こっちも山になっているのをときどき見かける。
見ないようにして通り過ぎる、
これでいいわけはないと思いながら――。