ヒヨコはなぜ黄色か?

世の中には難解な問題が多いものである。
事故の具合はどうかと遠方に住む実兄の家族から電話があったので、
久しぶりに義姉、甥、姪と電話で話した。
4歳の姪っ子と話すと、彼女は最近動物園に行ったということであった。
「動物を触ったよ」「おもしろかったよ」などと報告してくれる。
話していると、「おじさんに聞いてもいい?」というのである。
「なんでヒヨコは黄色いの?」というのである。
親のニワトリは白いのに、なぜ子のヒヨコは黄色なのだろうかと
思ったに違いない。さすが私の姪。目の付けどころが違う。
さー、困った。
そうきたか。
パッと思いついたのは、
「目玉焼きの真ん中の部分とか、玉子焼きは黄色いでしょう? そうして
人においしく見せるために、ヒヨコが自ら黄色くなってくれてるんだよ」
ところが、このまま言ったら、
ギャーーーッ
ってなことになって、玉子焼き恐怖症になってしまうかもしれへん。
いやさ、卵アレルギーになってしまうかもしれへん。
自分ちの子ならそれでもいいが、人んちの子はアカン。
答えられないで数秒間の沈黙が続いたあと、
「なんだ、答えられないジャン!」と彼女は言うのである。
オジサンはヘコんだ。
そうとうヘコんだ。
どれくらいヘコんだかというと、風呂場で水を出そうとしたら、
シャワーになってて、頭から冷水を被ったときぐらいヘコんだ。
結果、「そういう生き物だからだよ」などと言うしかなかった。
電話のあとで調べてみると、色素の関係でトウモロコシを主食としている
鶏からは黄色のヒヨコが生まれるのだという。
最近はパプリカなども混ぜているので、オレンジ色の卵黄もあるという。
「トウモロコシは黄色いでしょう? 親ニワトリがトウモロコシを
食べて生むから、ヒヨコは黄色いんだよ」
これがまともな答えだろう。
だが、これでは80点。偏差値52である。
偏差値60を目指そうと思えば、これをメルヘンチックに
改変する必要がある。
たとえば、こういうのはどうだろうか。
「もともとヒヨコの体は白でした。
ある日、ヒヨコがお母さんの言いつけを守らないでいたずらしたから、
神様がクレヨンで黄色にしてしまいました。
でも、神様は『いい子にしていたら、体を元の白色に戻してあげる。
そして、もっといい子にしていたら、赤いトサカをあげるよ』と
ヒヨコに約束しました。だから、ヒヨコは黄色いんだよ」
というのはどうだろうか。
これで偏差値55にはなったか。
偏差値60の回答のアイデアをお待ちしております。