「高齢者の事故」は本当に多いのか。
交通事故のうち、運転者の年齢の統計を見ると、
圧倒的に多いのは16~19歳。
その次が20~29歳。その次が80歳以上。
あとはほとんど大差ない。
ニュースを見ていると、高齢者が多いような
印象を受けるのだが、毎日、全国で何百件と
起こる交通事故のうち、報道されるのは、1、2件だ。
ニュースになるのは、死亡事故のうち、
車が大破していたり、若い人が死んだり、
歩行者が巻き込まれたりした場合。
つまり、「わあ、すごい車の壊れ方」
とか、「かわいそう」という感情に訴える事故のみが
ニュースとして扱われる。
最近は、これが「高齢者の事故」である。
でも、実際は10代の事故が多いわけだ。
こういうのがクリティカルに考えるということなのだが、
ここではもう一歩踏み込んで考えないといけないだろう。
それは、分母がどれだけなのかということだ。
80代の運転者が少ないのに、これだけの数の事故が
あったなら、「80代以上は事故を起こしやすい」と言える。
10代の運転者が膨大に多かった場合、
分母が大きくなるので、実数が多くても、確率的には低い
ということになる。
実際に運転している人の年齢を調べるのは難しい。
免許証を持っていても、ペーパーの人は無数にいるのだから。
ここまで考えてニュースは見たり、読んだりしないといけない。
そうでないと、変に不安をあおられるだけだからだ。