国と企業の癒着によって、国の重要人物は権力を維持し、
企業は利権を得る。そこで食いものにされているのは、
アフリカの貧しい人々であるということ。
そこに夫婦の愛を絡めた作品。
英国の外交官の妻であるテッサは、アフリカで人体実験をしている
製薬メーカーの実態を暴こうとするが、殺されてしまう。
夫は妻の無念を晴らそうとするが……。
この映画も大変重い。
製薬メーカーがケニアで試薬を配布しているとしても、その代金は
ケニア政府がメーカーに支払われなければならないはず。
それとも治験データが得られればいいとして
無料で配布しているのか。
それとも援助機関がメーカーから買って配布しているのか。
試薬の代金が発生しているとしたら、貧しい国がどうやって
その費用を捻出しているのか。
映画『ロード・オブ・ウォー』にも、現金の換わりにダイヤモンドで
支払っているシーンがあった。
試薬と引き換えにダイヤや純金などの鉱産物で取引がなされているのかも。
そういう鉱産物に採掘に駆り出されるのは、まだ年端もいかない子ども
たちであり、そういうものの上に先進国の物質社会が成り立っている。
この映画だって、「あまりにも安い命」と引き換えに得られた治験データに
よって先進国で薬の使用の認可が下りて販売できるわけでしょう。
どうにもならない現実をまた痛感した。
もちろんフィクションなのだが、ありそうな話だと思った。
夫である外交官のジャスティンは、妻の死後、自分で何ができるか
模索し、葛藤したのち、やはり企業と国を糾弾しようと立ち上がる。
ひとりの弱い人間が変わっていくところが、
見ごたえのある映画でもあった。