「君のためなら千回でも」

地味だけど良作っていうのはあるもので、
この作品もその部類に入るものだと思う。
アフガニスタンのある特権階級の子どもと、その召使の子どもによる
立場の違う、対等でない友情を描いた映画である。
正視に耐えられない辛らつな場面もあるが、
とても大事なことを描いている映画なのでお勧めです。
ストーリーはさておき、この映画で印象に残ったのは、
アフガニスタンという、日本人にとってはあまりなじみのない国の人々の
生活を垣間見ることができる点である。
旧ソ連による1979年の侵攻前後による描写の落差が激しい。
それまでの豊かな(物質的豊かさではない)生活から
一転して荒廃した環境での生活となる。
アフガニスタンという国がいかにいくつもの他国によって蹂躙され、
国土が荒れていったかをまざまざと見せつけられる。
私にとってアフガンやイラン、イラク、いわば中東の国々は
砂漠の国であって、とても貧しい(金銭的貧しさではない)国に
思えるのだが、しかし、旧ソ連が侵攻してくるまでには、
そこにも豊かな人々の暮らしがあったのだ。
そうしたリアルなシーンが見られるのも
ひょっとしたらこの映画のひとつの見どころかもしれない。