サラリーマンがかっこいい

「20代の社長が普通になっちゃったからなあ」
40歳のある社長さんが言う。
株の上場のニュースで世間を賑わせるのは30歳そこその若い社長だ。
IT企業では特に20代社長は多い。
そういう社長さんたちを見て、「自分も早く出世しなくては」と
成果を挙げるのを急ぐことはないと40歳のその社長さんはいう。
いつからか、バブル後からか、サラリーマンがかっこ悪く、
悲哀に満ちた存在になってしまった。
サラリーマン川柳では、誇りをもった内容は少なく、自虐的な内容の
ものばかりが目立つ。
「おれはなんの能力もないし、サラリーマンで一生を終わるのがせいぜい」
とこぼす人がたまにいる。
以前はみんな「普通」でよかったのに、飛び抜ける人が増えてきたから、
自分も何か人と違うことをして、早いとこ成果をあげようとしている。
地道に実績と周囲の信頼を得るよりは、一足飛びに成功をおさめたい
人が増えてきたせいなのだろうか。
ある著名な精神科医は中高年に向けた本の中でこう言った。
「普通でいけないと誰がいったのか。仕事をし、子供を生み育て、社会の
一員として立派に人生を生きてきた。それだけで充実した人生だと
いえるはずである」
まったくその通りだと思う。
スポーツ選手や芸術家のような生き方はカッコいい。
でも、サラリーマンも十分カッコいいと思う。
自分のことを「しがないサラリーマン」などと思う必要はない。
サラリーマンこそカッコいい。
そういう世の中であってほしい。