アモーレス・ペロス

まったく先の読めないストーリー、
ショッキングな映像、
わかりにくいテーマ。
この映画を思い返したときに思いつくキーワードである。
もうひとつあった。
それは犬。
一匹の犬に翻弄されていく人生が描かれている。
この映画はメキシコ産なんだけど、メキシコではそんなに
犬好きが多いのかな。
犬を愛したばっかりに破滅に向かって歩を進める。
しかも、後戻りできない、ろくでもない人生に向かってだ。
登場人物もみなろくでもない人たちばかりで、
愛情の注ぎ方を知らない。
子どものように、思い通りにならないからといって
すぐに泣き叫び、人を傷つける。
まったく感情移入できないのだけど、不器用にしか愛情表劇できない
悲哀みたいなものは伝わってくる。
もっと別のやり方があるだろうと、
観ているこっちははがゆくなってくる。
映画をつくった人が何を訴えたかったのか、まったくわからない。
あるいは何も訴えたいものがなかったかもしれない。
エピソード自体はおもしろいし、構成も巧みなんだけど、
後味はよくない。
たまには違う趣向のものを観てみようかと思いついた
ときには思い出して観てみてください。