田舎暮らしにはまだ早い

池袋で開かれていた離島の人たちが集まる
アイランダー2006」に行ってきた。
島の人たちがやってきて物産品をアピールしたり、
観光案内をするというイベントです。
そのなかで、定住相談もやっていて、たくさんの初老のご夫婦が
テーブルについていました。
年配の方だけでなく、若い人も田舎暮らしをしたいという人は多い。
田舎暮らしをしたいという人のなかで、
「何度も遊びに行って慣れているし、山や海がそばにあると癒される」
という人は、本当に田舎暮らしをするときは気をつけたほうがいい。
なかなか行けない非日常であるから田舎は楽しめるのであって、
田舎が日常になるのだということをよく想定しておくべきだ。
(ここでいう田舎とは、東京=地方ではなく、都市部=山間部と
いう対比でいう「山間部」を言います)
キューバダイビングの魅力にとりつかれ、田舎の海、たとえば沖縄
などで、インストラクターをやって生計を立てようとする人がいる。
「毎日、これをやって過ごせたら、人生楽しいだろうな」
と考える。こういう人はだいたい失敗する。
非日常でたのしめていたものが、日常になったらとたんに
たのしめなくなるものなのである。
非日常に現実逃避する人は、田舎に住んだら、今度は逆に都会に
遊びに出かけるようになるものだ。
そうなると、田舎に引越したって、「あそこの家族はお客さん」という
ふうに見るようになり、その地域で孤立する。
そうならないためには、地域社会にどっぷりつかって、
人のウワサや他人からの過干渉に耐えるしかない。
人のウワサや他人からの過干渉さえも、いい意味でたのしめるなら
田舎暮らしができるかもしれない。
ぼくの場合は、よく山や海に遊びに行くが、決してそこに住みたいとは
思わない。そんな生活をするにはまだ早すぎる。
非日常に現実逃避なんかしない。
非日常に想いを馳せるよりは、いまある日常をたのしむことを考えたい。