おばあちゃんたちの大商い

徳島県上勝町といってピンとくる人はあまりいないのではないか。
この小さな町がいま、けっこうな注目を集めている。
料亭の料理にだされる、季節の葉や実(ツマモノ)を売ることで、
高収入を得るおばあちゃんたちが続出しているというのだ。
その年収は最も多い人で1000万円だというから驚きだ。
町興しをかねて、「ツマモノ」で商売をしようと考えたのは
地元の農協職員だった。
シルバー人材センターを経由して、おばあちゃん宅にツマモノの
注文をファックスで送る。
すると、おばあちゃんたちは長年の経験を生かして、
野山から季節の葉や実をとってきて農協におさめる。
これを全国の料亭に売る。そのシェアはなんと90%という。
おばあちゃんたちは売上げをパソコンで確認するので、
あっという間にパソコンの技術を修得した。
そんなおばあちゃんたちの平均年齢は70歳で、
最高齢は90歳という。
なぜこのツマモノが高値で売れるのか。
それは、料亭という高付加価値の料理を出す店だからだ。
そして日本人には季節の葉や実を、料理と一緒にたのしむという
風情を持ち合わせているからできる。
また、おばあちゃんたちが野山の生態系をよく知っているからこそ
ツマモノを見つけることができる。
若い人が山に入っていったところで、簡単にこれらの季節の葉や実を
見つけることは難しいだろうと思う。
この話には、シルバービジネスと、高付加価値ビジネスへの
よいヒントがたくさんありそうだ。